10月9日~12日にマレーシアのクアラルンプールで開催された「ASIANALYSIS XVI, 2023」に高貝先生が参加され、招待講演を行いました。
タイトルは、以下のとおりです。
◆招待講演
Y. Takagai, “Gold Nanoparticle Catalytic Flow Synthesis and Cycle Monitor System Utilizing on Solid Phase Extraction”
10月9日~12日にマレーシアのクアラルンプールで開催された「ASIANALYSIS XVI, 2023」に高貝先生が参加され、招待講演を行いました。
タイトルは、以下のとおりです。
◆招待講演
Y. Takagai, “Gold Nanoparticle Catalytic Flow Synthesis and Cycle Monitor System Utilizing on Solid Phase Extraction”
2023年9月13日~15日に開催された、日本分析化学会第72年会(熊本城ホール)に学生4名が参加し、研究成果発表を行いました。
研究発表のタイトルは、以下のとおりです。
【ポスター発表】9月14日発表
・ビャムバドルジ アナラ,荒野真結,鈴木李英,高貝 慶隆,“医療用試薬の合成・分離を目的とする金ナノ粒子包含樹脂の開発”
・岩下彩夏,高貝慶隆,“両性イオン界面活性剤を用いる金ナノ粒子の曇点抽出と粒径選択性”
・齋藤文加,柳澤華代,柳堀あや子,松枝誠,及川博史,橋本淳一,高貝慶隆,“シリカゲルを用いる強酸性条件でのタンタルの吸着特性”
・岩本友樹,高貝慶隆,“フロー合成における循環計測の開発と金ナノ粒子包含樹脂によるアミノフェノール合成への応用”
2023年9月11日~13日に開催された、化学工学会 第54回秋季大会(福岡大学)に学生1名が参加し、研究成果発表を行いました。
研究発表のタイトルは、以下のとおりです。
【口頭発表】9月12日
・岩本友樹,高貝慶隆,“金ナノ粒子包含樹脂によるp-アミノフェノールのフロー合成・計測システムの開発”
2023年9月8日に、東北大学青葉山コモンズ(仙台市)で開催された「International Symposium for the 80th Anniversary of the Tohoku Branch of the Chemical Society of Japan」に高貝先生と学生1名が参加しました。学生は、研究成果発表を行い、Excellent Poster Awards (優秀ポスター賞)を受賞しました。
研究発表のタイトルは、以下のとおりです。
【ポスター発表】
Y. Kusunoki, W. L. Hinze, Y. Takagai, “Affect of chemical structure of hydrophilic group in betaine surfactant on the phase separation phenomenon”
後日、高貝研において、賞状授与を行いました。
また、高貝先生は、招待講演を行いました。
【招待講演】
Y. Takagai, “Mass-Spectrometric Analysis of Radionuclides in Environment”
2023年8月28日に、いわき芸術文化交流館「アリオス」(いわき市)で開催された「第7回福島第一廃炉国際フォーラム」に学生2名が参加し、研究成果発表を行いました。
研究発表のタイトルは、以下のとおりです。
【ポスター発表】
・T. Tanji, M. Furukawa, K. Fujimoto, Y. Takagai,“Material Identification Method using Multivariate Analysis for Chemical Analysis and Application Possibility to Fragment Ion of Fuel Debris Dissolved in Wastewater”
・K. Naganuma, M. Matsueda, K. Yanagisawa, H. Oikawa, J. Hashimoto ,Y. Takagai,“Development of ICP-MS analytical method for rapid analysis of radioactive 94Nb in waste”
2023年7月26日~28日に、カナダのオタワで開催された「65th International Conference on Analytical Sciences and Spectroscopy (ICASS 2023)」に高貝先生と学生2名が参加しました。
高貝先生は、招待講演を行い、学生2名は研究発表を行いました。
それぞれのタイトルは、以下のとおりです。
◆招待講演
Y. Takagai*, K. Yanagisawa, M. Matsueda, M. Furukawa, “Dual port chamber for the functional analysis in ICP-MS”
◆研究発表
K. Yanagisawa, M. Matsueda, M. Furukawa, H. Ishiniwa, T. Wada, T. Hirata, Y. Takagai*, “A new quantification method for trace elements using ablation-inductively coupled plasma-mass spectrometry”
T. Tanji, M. Furukawa, K. Fujimoto, Y. Takagai*, “Original Materials Profiling Using ICP-MS Multi Elements Data and Multi Variate Analysis in Complicated Mixture Solutions”
2023年7月9日~14日に、フランスのリヨンで開催された「2023 Goldschmidt Conference」に高貝先生と学生1名が参加し、研究成果発表を行いました。
研究発表のタイトルは、以下のとおりです。
J. Aoki, M. Goto, S. Wakaki, T. Miyazaki, K. Suzuki, Y. Takagai, “Direct Quantification of 90Sr in Biosamples Using Isotope Dilution–Thermal Ionization Mass Spectrometry Assisted by Quadrupole Energy Filtering”
2023年7月15日、東北大学において開催されたみちのく科学シンポジウムで大学院生2名が研究成果を発表しました。
そして,長沼和希さんがフロンティアラボ賞(ポスター賞)を受賞しました(発表17件中3件)。
【ポスター発表】
・楠 裕翔,高貝慶隆,“両性イオン界面活性剤の親水基側鎖の構造変化による相転移現象への影響”
・長沼和希,松枝誠,柳澤華代,及川博史,橋本淳一,高貝慶隆,“多段分離による難分析核種 Nb-94 の迅速分析法の開発”
2023年7月6日~7日、つくば国際会議場において開催されたプラズマ分光分析研究会2023筑波セミナーで、大学院生1名が研究成果を発表し、フラッシュプレゼンテーション賞およびJAASポスター賞を受賞
研究発表のタイトルは、以下のとおりです。
【ポスター発表】
・柳澤華代,横田裕海,松枝誠,古川真,石庭寛子,和田敏裕,藤本勝成,平田岳史,高貝慶隆,“オンライン同位体希釈LA-ICP-MSによる生物硬組織の定量分析と支援ソフトウェアの開発”
2023年6月23日に、東北大学で開催された「令和5年度日本分析化学会東日本分析化学若手交流会」に参加し、研究成果発表を行いました。
以下、研究成果発表のタイトルです。
【招待講演】
・丹治珠緒,古川真,藤本勝成,高貝慶隆,“化学分析がリードする多変量解析~目に見えないものを可視化する手法~”
【ポスター発表】
高貝先生が山口克彦教授と連名で、令和5年度学長教育特別表彰を受賞しました。
これは、高貝先生が取り組まれた「理工学的専門教育と福島の地域課題に向き合う放射線教育の相乗効果による次世代人材育成プログラム」が、福島大学の教育活動の推進に貢献したことによります。
授賞式は、令和5年6月6日(火)に福島大学事務局棟で行われました。
2023年5月20日~5月21日に、富山大学で開催された「第83回分析化学討論会」に高貝先生、大学院生2名が参加し、研究成果発表を行いました。
以下、研究成果発表のタイトルです。
【口頭発表】
・高貝慶隆,古川真,松枝誠,東海林達也,小林恭子,川上智彦,鈴木祐未,関根伸行,見上 寿,松田貴光,“水素同位体による放射性塩素のICP-DRC-MS/MS分析とイオンクロマトグラフとの連結”
・丹治珠緒,古川真,藤本勝成,高貝慶隆,“ICP-MSによる合金材の溶出成分の多元素定量分析データに多変量解析を併せた材料プロファイリング法”
【ポスター発表】
・杉本璃子,高貝慶隆,“PLOTカラム内での水素同位体交換反応とGC-MSによる同定”
高貝教授とD3の青木譲さんらが開発した「超微量の放射性ストロンチウムの計測技術」がアメリカ化学会「Analytical Chemistry」誌でACS Editors’ choiceに選定されました。また,新聞に掲載されました。
【開発の概要】
放射性ストロンチウム90(90Sr)は、放射性物質の中でも特に分析することが難しいものの一つです。そのため、サンプル量が現実的に少量しか採取できないもの(例えば、涙、粘膜、歯、貴重な環境試料など)については、これまで極微量な放射性ストロンチウムを測定することができませんでした。今回、福島大学と海洋研究開発機構の合同チームは表面電離型質量分析装置を用いる計測技術でこれを可能にしました。
従来、分析する際はグラムレベル(1~100g)の試料を準備する必要がありました。この技術は画期的な方法で、1 ミリグラム(mg)程度の試料で測定できるだけでなく、世界で誰もなし遂げたことのないレベルの放射性ストロンチウム量(0.98 ag (5.0 μBq))を正確に測ることができます [ag:アトグラム=10-18g]。この技術によって、これまで不可能であった小動物や魚類の歯や骨への放射性ストロンチウムの蓄積を正確に測定できるようになります。これからの放射性ストロンチウム90 を含めた放射能調査の概念を拡張する革新的な技術です。
この成果は、アメリカ化学会『Analytical Chemistry』誌に採択されるとともに、広く一般の人々に影響を与える可能性がある「ACS Editors’ choice」に選定されました。
【主たる開発メンバー】
・高貝慶隆 (福島大学 共生システム理工学類 教授)
・青木譲 (福島大学大学院 共生システム理工学研究科博士後期課程3 年)
・鈴木勝彦 (海洋研究開発機構)
・若木重行 (海洋研究開発機構)
・宮崎隆 (海洋研究開発機構)
【論文情報】
題目: “Direct Quantification of Attogram Levels of Strontium-90 in Microscale Biosamples Using Isotope Dilution–Thermal Ionization Mass Spectrometry Assisted by Quadrupole Energy Filtering”
著者: Aoki, Jo; Wakaki, Shigeyuki; Ishiniwa, Hiroko; Kawakami,Tomohiko; Miyazaki, Takashi; Suzuki, Katsuhiko; Takagai, Yoshitaka
掲載誌: Analytical Chemistry, 95, 4932–4939 (2023),
DOI:https://doi.org/10.1021/acs.analchem.2c04844
2023年5月7日~5月12日に、ハンガリーのブダペストで開催された「RANC-3(3rd International Conference on Radioanalytical and Nuclear Chemistry)」に高貝先生が参加し、研究成果発表を行いました。
以下、研究発表のタイトルです。
・Y. Takagai, M. Matsueda, M. Furukawa, T. Shoji, K. Kobayashi, T. Kawakami, Y. Suzuki, N. Sekine, H. Mikami, T. Matsuda, “Sequential Analysis of 36Cl by Ion Chromatography-ICP-MS/MS with Deuterium Gas Reaction via Dynamic Reaction Cell”
2023年3月24日
2022年度の卒業式が行われました。
高貝研究室の卒業生は、9名です(博士後期課程1名、博士前期課程4名、学類生4名)
ご卒業おめでとうございます!
このうちの5名は、今後も院生としてまだまだ研究を続けていきますので、これからもよろしくお願いします。
↓ 高貝研集合写真
卒業生のみなさま↓
2023年3月23日、事務局棟大会議室において、学生表彰式が行われました。
高貝研からは、3名も表彰されるというとても名誉な表彰式となりました。
◆学長賞受賞者
松枝誠(共生システム理工学研究科 博士後期課程3年)
丹治珠緒(共生システム理工学研究科 博士前期課程2年)
楠裕翔(共生システム理工学類4年)
2023年3月9日、次世代イニシアティブ廃炉技術カンファレンス(NDEC-8)が福島大学で開催されました。
高貝研からは、大学院生3名、学類生2名が参加し、研究発表を行い、
D2の柳澤華代さんが最優秀フロンティアスピリット賞を受賞しました。
本研究では、レーザーアブレーション-誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて、固体表面における微量な放射性物質の分布を定量的に可視化できる手法を開発し、 燃料デブリや放射性廃棄物の分析などへの貢献が期待される技術として高く評価されました。
なお、JAEA福島研究開発部門HPにも掲載されています。
https://fukushima.jaea.go.jp/info/20230309.html
研究発表のタイトルは、下記のとおりです。
【口頭発表】
・丹治珠緒, 高貝慶隆,藤本勝成,古川真,“水中に溶け出した微量成分からステンレスの存在を特定する~多変量解析による溶出プロファイルからの材料判別~”
【ポスター発表】
・鈴木怜花、中川太一,松枝誠,高瀬つぎ子,寺島元基,高貝慶隆,“滞留水中の微粒子計測を志向する金属酸化物コロイドの液相集積法の開発とそのメカニズムの推定”
・大槻響,柳澤華代,高瀬つぎ子,古川真,高貝慶隆,“アルゴンガスによるレーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析 ~国際物流混乱に左右されない安定した1F廃炉分析のための方策~”
・長沼和希,柳澤華代,及川博史,橋本淳一,高貝慶隆,“難分析核種Nb-94の吸着分離と分析用前処理剤への展開”
修士2年生の丹治珠緒さんの研究成果が、2023年1月13日のアメリカ化学会「ACS ES&T Water」誌に論文掲載され,2023年新年1月号のSupplimental Coverに選ばれてハイライトされました。
【著者/論文誌名】T. Tanji, M. Furukawa, S. Taguma, K. Fujimoto, H. Sato, N. Shibasaki, Y. Takagai*, ACS ES&T Water, 3(1), 139-146 (2023).
【DOI】https://doi.org/10.1021/acsestwater.2c00455
【概要】地下水の動態や水の流れを把握することはとても重要です。それによって,水質汚染などの将来の問題を予測して事前に適切な対策を講じたり、時には事前に解決することもできます。地下水は,地下でネットワークが広がっており,化学分析を行ったとしてもその水質にはほとんど違いがありません。そのため,敷地単位ような狭い面積(範囲)での地下水の動きや流れを把握することは容易ではありません。
東京電力福島第一原子力発電所の敷地面積は非常に広いとはいえ,3.5平方キロメートルほどしかなく,その敷地の地下水の水質にはほとんど違いがありません。1号機から4号機までの原子炉建屋の周りには、42基のサブドレンピット(井戸)があります。事故後、ピットから地下水を採水して放射能濃度を定期的に測定しています。汚染水が混入しているサブドレンピットは,敷地内に点在していますが、汚染箇所と地下水の流れの連続性や関連性を見つけだすことはできていませんでした。この重要性や課題は多くの研究者が認識していますが,狭い範囲で性質に違いの無い地下水の流れを理解することは依然として困難でした。
この研究では、化学分析で得られた計798データ(19因子×42ピット)を用いて、独自に改良した主成分分析(PCA)により地下水流動を明らかにしました。1号機から4号機までの地下水流動を2つの水源に由来する2つの流れに分類することができ,地下水頭が低い2号機の湾岸付近でこれらの流れが合流することを明らかにしました。この開発した方法は、この狭い地域における地下水のダイナミクスと水の流れを明らかにするのに適していることがわかりました。
高貝研究室の博士後期課程の松枝誠さんが、日本分析化学会 東北支部 「東北分析化学奨励賞」を受賞しました。
授賞式・受賞講演が2022年12月17日に東北大学理学部にて開催されました。
受賞題目「気相反応を利用した放射性同位体の多段分離-誘導結合プラズマ質量分析法の開発」
誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)で放射性同位体を分析する際は,同重体干渉の問題があり,これまで現実的な環境濃度を分析することは難しい状況でした。
松枝さんは,ICP-MS内のリアクションセルにおいて気相反応に着目した手法と各分離法を統合することで,新しい核種分析を実現しました。。
この業績は,環境動態や地球ダイナミクスの理解,核査察などの幅広い分野で有効な手段であり,将来の研究の発展も期待できるものであると評価されました。
2022年12月6日、令和4年度 JAEA福島研究開発部門成果報告会(富岡町文化交流センター学びの森)が開催され、高貝研から学類生2名が研究成果発表を行いました。
参加した2名は,それぞれ『廃炉環境回復促進賞』を頂きました。
・長沼和希,柳澤華代,及川博史,橋本淳一,高貝慶隆,“難分析核種Nb-94の吸着分離と分析用前処理剤への展開”
・大槻響,柳澤華代,高瀬つぎ子,高貝慶隆,“廃炉分析におけるLA-ICP-MSの優位性とSEM-EDXとの比較~世界的ヘリウム供給不足からの回避のために~”
2022年11月24-25日、東京工業大学において開催された第41回 溶媒抽出討論会で研究成果を発表しました。
【口頭発表】
・中川太一,鈴木怜花,松枝誠,高瀬つぎ子,寺島元基,高貝慶隆,“熱感応性界面活性剤の相分離現象によるジルコニウム酸化物微粒子の抽出挙動とゼータ電位との影響”
【ポスター発表】
・鈴木怜花,中川太一,松枝誠,寺島元基,高瀬つぎ子,高貝慶隆,“両性イオン界面活性剤の温度依存性相分離現象による金属酸化物および金属炭化物ナノコロイドの抽出・濃縮”
2022年11月9日にR4年度の国会試験である「放射線取扱主任者試験」の合格者が官報で報告されました。
国家資格である「第1種放射線取扱主任者」ならびに「第2種放射線取扱主任者」に高貝研究室のメンバー5名(うち1名が両方合格)が合格しました。
第一種試験は,令和4年8月24日~26日に実施され,東京会場 で受験しました。
令和4年度の第一種放射線取扱主任者試験は、受験者数 3,097名 合格者数 896名 合格率 28.9%でした。
一方,第2種は、受験者数 1,534名 合格者数 316名 合格率 20.6%でした。
おめでとうございます。
松枝誠さん(博士後期課程3年)の研究成果が、2022年11月号のSpringer「Analytical Sciences」誌に論文が掲載されました。
また,2023年11月号のHot Article(注目論文)に選ばれました。
【著者/論文誌名】M. Matsueda, J. Aoki, K. Koarai, M. Terashima, Y. Takagai*, Analytical Sciences, 38, 1371-1376 (2022).
【DOI】https://doi.org/10.1007/s44211-022-00180-w
【概要】放射性のヨウ素129(¹²⁹I)は、半減期が約1600万年と非常に長い人工の放射性核種です。その一方で、原子力災害(例えば、原子力発電所事故や隣国の核実験)で放出され、甲状腺ガンを誘発する放射性ヨウ素131(¹³¹I)の半減期はわずか8日しかありません。そのため、災害や事故の原因を究明したり、環境にどのように飛散したかを数年後に追跡調査することは極めて難しいです。その問題を回避するため,半減期の短い¹³¹Iの代わりに半減期の長い¹²⁹Iが測定できれば、事故時の当時の状況や現在の環境への負荷の状況が分かります。しかし、環境中の¹²⁹Iの存在濃度は非常に低いので、これを分析するためには100リットル近くの試料水を濃縮して,分析機器で計測できる濃度範囲まで濃度を濃くする必要があります。
ところが,濃縮を行うと、分析ターゲットの¹²⁹Iだけでなく、元々環境にある(放射線を出さない)安定同位体の¹²⁷Iも同じヨウ素で化学的性質が一緒(=同じ元素)なので,一緒に濃縮されてしまいます。つまり、大量の¹²⁷Iの中に、ごくわずかなの¹²⁹Iがほんの少しあるという状況になります。このような状況を「¹²⁹I/¹²⁷I比が低い」と呼びます。
その一方で,誘導結合プラズマタンデム型質量分析計(ICP-MS/MS)で¹²⁹Iを測定すると、測定を妨害する核種が多く、さらには、ピークテーリングという現象があり(=m/z 127のイオンが大量にありすぎて, m/z 129にまで影響を及ぼして何を分析しているのか訳が分からなくなる現象のこと)、低い¹²⁹I/¹²⁷I比を計測することは困難でした。
今回,ICP-MS/MS分析装置のリアクションセルと呼ぶ機構に酸素と二酸化炭素の混合ガスを導入すると、非常に低い¹²⁹I/¹²⁷I比まで計測できることを発見しました。市販のICP-MS/MSでここまで非常に低い¹²⁹I/¹²⁷I比を計測できることはほとんどなく,これが評価されて論文掲載に至ったというものです。
This paper presents a mass-spectrometric method for determining the radionuclide iodine-129 (129I) from the significant amount of interference in inductively coupled plasma tandem quadrupole mass spectrometry (ICP–MS/MS) using a dynamic reaction cell passing a mixture gas of O2 and CO2. Thus far, mass spectrometry analysis of trace amounts of 129I has been hampered by the presence of xenon-129 (129Xe) and the formation of polyatomic ions from excess amounts of stable isotope 127I. In this study, flowing a mixture gas of O2 and CO2 into the dynamic reaction cell (Q2) successfully removed both 129Xe interference and polyatomic interference (127IH2) in the analysis of 129I in ICP–MS/MS. The resulting ratio of (background noise of m/z 129)/127I was 4.6 × 10–10 ± 3.3 × 10–10, which enables the analysis of 10 mBq/L of 129I in the presence of 100 mg/L of stable 127I without chemical separation. The detection limit of this method was 0.73 mBq/L (= 0.11 ng/L) with an APEX-Q sample inlet desolvation device. For demonstration purposes, spike and recovery analysis of rainwater was performed, and good agreement between the spiked and recovered amounts was achieved.
2022年10月16日、福島県楢葉町のJ-ヴィレッジで開催されました福島廃炉研究国際会議/International Topical Workshop on Fukushima Decommissioning Research 2022 (FDR2022)で博士課程の柳澤華代さんが研究成果を発表しました。
【口頭発表】
・K. Yanagisawa, M. Furukawa, T. Hirata, Y. Takagai, “Quantitative Imaging of Radioactive Sr-90 Using Laser Ablation-Inductively Coupled Plasma-Mass Spectrometry”
Jヴィレッジ内のレストランでサッカー場を見ながら,お昼ご飯 ↓
2022年9月15日-17日、東京大学本郷キャンパスにおいて開催されました日本放射化学会第66回討論会で博士課程の大学院生1名および客員研究員1名が研究成果を発表しました。
また、高貝先生は、招待講演を行いました。
【招待講演】
・高貝慶隆, 柳澤華代, 青木譲, 古川真, “Sr-90の質量分析のフロンティア ~微小・微量・イメージング~”
【ポスター発表】
・柳澤華代, 松枝 誠, 古川 真, 平田 岳史, 高貝 慶隆, “レーザーアブレーション-ICP質量分析による90Srのマイクロスケールイメージング”
・中川 太一, 鈴木 怜花, 松枝 誠, 寺島 元基, 堀田 拓摩, 岡 壽崇, 北辻 章浩, 高貝 慶隆, “放射性微粒子のフッ素系界面活性剤のpH依存相分離現象に基づく均一液液抽出”