ICP-MS定量イメージング技術が英国王立化学会「Analyst」誌に掲載され,表紙に選定されました。

博士課程の柳澤華代さんの研究成果が、2023年9月21日の英国王立化学会「Analst」誌に論文掲載され,2023年9月号の表紙に選ばれてハイライトされました。

【著者/論文誌名】K. Yanagisawa, M. Matsueda, M. Furukawa, H. Ishiniwa, T. Wada, T. Hirata, Y. Takagai*, Analyst, 148(18), 4291-4299 (2023).

【タイトル】Quantitative imaging of trace elements in solid samples by online isotope dilution laser ablation-inductively coupled plasma-mass spectrometry

【DOI】https://doi.org/10.1039/D3AN01028G

【概要】オンライン同位体希釈法でLA-ICP-MSを実現し,歯や骨のなかに含まれるSr(今回は安定同位体)を可視化(イメージング)と定量の両方ができるようになったというものです。

今回の論文では,微量元素の正確な定量可視化を可能にする「オンライン同位体希釈(ID)レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析法(LA-ICP-MS)」を発表しました。

この手法は,まずレーザーで固体試料を照射して気化します。そのガスに霧状にした同位体濃縮スパイク溶液を装置内(オンライン)で混ぜた後,誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)で測定する手法です。従来,LA-ICP-MSでは,標準試料が必要でしたが,それらを使用せずに元素を定量できます。この方法は,定量だけでなく可視化(イメージング)も可能にします。今回,実際の生物学的硬組織(マウスの切歯、ヒトの乳歯、魚の耳石)の定量イメージングに本手法が適用可能であることを実証し,湿式化学分析で得られた濃度と一致することを証明しました。
この新しいオンラインID-LA-ICP-MS法は、生物学的組織を含むさまざまな材料の定量イメージングに潜在的な可能性を秘めていることを示しました。

X線分析では難しかった障壁を打破できたことは大きな価値があると思います。