Elsevier「Talanta」誌に同位体希釈法を用いた新しい⁹⁰Sr分析方法に関する論文が載されました

柳澤華代さん(博士後期課程2年)・小田島瑞樹さん(2019修了生)の研究成果が、2022年04月1日付のエルゼビア社の「Talanta」誌に論文掲載されました。

【著者/論文誌名】K. Yanagisawa, M. Odashima, M. Matsueda, M. Furukawa,  Y. Takagai, Talanta, 244, 123442 (2022).

【タイトル】Online solid-phase extraction−inductively coupled plasma–quadrupole mass spectrometric quantification of 90Sr using 88Sr/86Sr isotope dilution method

【DOI】https://doi.org/10.1016/j.talanta.2022.123442

【概要】この研究は,放射性物質の中でも分析することが難しいストロンチウム90(⁹⁰Sr)を「カスケード型ICP-MS」という分析装置と「同位体希釈法」をいう定量法を用いることで簡単に測定できる分析方法を開発したことを報告しました。

このカスケード型ICP-MSは,「オンライン固相抽出-高周波誘導結合プラズマ質量分析」と呼ばれる原理に基づく分析方法で、⁹⁰Srを短時間で計測できる優れた分析方法です。しかし、長時間、連続で分析を続けていると、少しづつ定量値が変わってくるといった問題がありました。これまでは、それを防ぐために、定期的に決まった濃度を計測してその値を正しく計測できるかをチェックしていました。今回,私たちは、その欠点を解決するために同位体希釈法を応用して、高精度な分析が継続して続けられるようになりました。

また、この同位体希釈を用いたICP-MS分析では、これまで⁹⁰Srなどの人工の単核種を分析することはできませんでしたが、この研究で新しい計算方法を取り入れることで分析できるようになったことも評価ポイントと思われます。