英国王立化学会『Analytical Methods』誌に研究成果掲載&表紙でハイライトされました。

イギリス王立化学会の『Analytical Methods(21 January 2014)』誌に研究成果が掲載されるとともに,当該号の表紙デザインに選ばれました。

【著者/論文誌名】 Y.Takagai,*M.Furukawa,Y.Kameo, K.Suzuki, Analytical Methods, 2014, 6, 355-362

【タイトル】”Sequential inductively coupled plasma quadrupole mass-spectrometric quantification of radioactive strontium-90 incorporating cascade separation steps for radioactive contamination rapid survey

【表紙デザインPDF】https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2014/ay/c3ay90113k#!divAbstract

【概要】  Sr-90等のβ線核種は,放射性Cs等のγ線核種と比較して,簡易モニタリングが技術的に難しい。従来の分析法(ミルキング法)では,分析時間が2週間かかるために十分な調査には至っていない。迅速で精度の高い分析方法で,実験者の安全(放射線防護)を確保できる分析手法が望まれている。本研究では,オンライン濃縮-酸素リアクションの連続自動前処理システムによる放射性ストロンチウム90の高周波誘導結合プラズマ-質量分析装置(ICP-MS)を開発した。種々の検討の結果,本法は,Sr-90の同重体干渉の影響を全く受けないSr-90分析に特化したICP-MS分析であることを実証した。測定時間は,土壌試料のマイクロウェーブ加熱分解操作を含めると2時間,水溶液の測定装置の稼働時間のみでは15分であり,検出下限値(3σ)は,土壌濃度で3.9 Bq/kg (重量濃度換算:0.77 ppq)であった。また,本法は,安定同位体と放射性同位体のピーク強度比の計測(検量線の作製)を行った結果,非密封放射性物質としての管理が必要な放射性Sr標準溶液を使用することなく,安定同位体であるSr-88の標準溶液からマスバイアス補正によって定量できることが分かった。福島県内の空間放射線量の極めて高い地域の土壌からN.D.~89 Bq/kgまでの濃度範囲でSr-90を検出した。また,この土壌を公定法によってクロスチェックしたところ,定量値がほぼ一致し,良好な結果を得た。