私たちの研究室では,環境や生体中に存在する超微量成分を分析するための高性能な分析システムを開発しています。環境・生命・産業などの様々な分野で社会に役立つ分析技術を創ることが目的です。つまり,私たちは,これまで “分析方法がなかった”,“時間がかかりすぎて困っている”,“妨害成分があって分析できない”,“特殊なスキルが必要で誰も分析できない” などなど,分析することが難しいと言われている事象に対して,いかに簡単に分析するかを考える 『分析手法を創る研究室』です。
私たちの研究室は,新しい分析システムを開発することが目標ですが,私たちはその目標を達成するために 『物質を特定の場所に集める手法(濃縮法)』や『物質を特定の場所から分離する手法(分離法)』= 濃縮分離手法を開発していることが,他の研究室と違う点です。この濃縮分離法は,他のキーワードで書くならば,「抽出,吸着,除去,集積,凝集,アッセンブル」などが近いかもしれません。この濃縮分離手法を,化学のチカラ,すなわり,分子や原子の機能を利用することで,目的とする物質を特定のところに集めたり,移動させたり,除去させたりします。この濃縮分離法を利用することで,
- これまで濃度が薄すぎて測れなかった物質が,濃縮して濃くすることでその量を調べることができる(微量成分の高感度定量)
- 混合物の中から,必要な物質だけを集めることができる(有効成分や希少成分の選択的回収)
- 混合物の中から,不要成分だけを除去することが出来る(有害成分や不要成分の分離)
- 希薄な濃度の物質を濃度を濃くすることで,特殊な化学反応や可視化反応を引き起こす(集積場における特殊反応系,センサーの創出)
などに活用することができます。
このように私たちの研究室は,『物質を集める方法』や『物質を分離する方法』を創りながら,その手法をこれまで測れなかったものを測ることができるようにする(新しい分析方法の)ために生かす研究を行っています。
環境や生体などは,様々な成分が存在して,絶えず濃度が状況に応じて変動するため,信頼できる測定方法や高性能な分析方法を開発しなければなりません。私たちの研究室では ppq(pert per quadrillion【千兆分の1】,ppt の 1/1000)レベルの以下の微量成分を把握するための新たな分析システム(濃縮分離システム)に挑戦しています。斬新な切り口(アイデア)で,これまで世界中の誰もが成しえなかった超微量の領域にアプローチすると共に,未来の新しい科学技術の分野を開拓していきたいと考えています。
当研究室の研究スタンス