アメリカ化学会「ACS Omega」誌に放射性テクネチウム分析法に関する論文がハイライト・掲載されました

博士課程の松枝誠さんの研究成果が、2021年7月16日のアメリカ化学会「ACS Omega」誌に論文掲載され、論文誌の表紙に選ばれてハイライトされました。

【著者/論文誌名】M. Matsueda, K. Yanagisawa, K. Koarai, M. Terashima, K. Fujiwara, H. Abe, A. Kitamura, Y. Takagai, ACS Omega, 6(29), 19281-19290 (2021).

【タイトル】Online Solid-Phase Extraction–Inductively Coupled Plasma–Quadrupole Mass Spectrometry with Oxygen Dynamic Reaction for Quantification of Technetium-99

【DOI】https://doi.org/10.1021/acsomega.1c02756

【概要】この研究により,超低濃度の放射性テクネチウム99(Tc-99)の分析方法を開発することができました。

Tc-99は半減期が長い放射性核種(21万年)で、世界の再処理施設などでは環境への汚染が確認されています。これを分析することは環境動態を把握する上でとても重要ですが、Tc-99を分析するためには高周波誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)を利用することが一般的です。しかし、ICP-MSで分析するとき、試料の中にモリブデン99(Mo-99)とルテニウム99(Ru-99)が含まれていると、Tc-99と同じ質量のため正しく分析することが出来ませんでした。今回、ICP-MSに3つの分離機構を備えた新しい自動分析システムを開発することで、大過剰のMoやRu存在下でもTc-99を計測できるようになりました。この方法は、これからのTc-99の環境分析において非常に役立つものになると思われます。