アメリカ化学会「Analytical Chemistry誌」に定量と回収率の同時自動計測システムについての論文が掲載されました。
【著者/論文誌名】 M. Furukawa, Y. Takagai, Analytical Chemistry, 88(19), 9397-9402 (2016).
【DOI】 DOI: 10.1021/acs.analchem.6b03195
【概要】
オンライン固相抽出-ICPMS法は,金属イオンの超微量分析において大変有用な分析技術の一つです。この技術は,カラムと呼ばれる吸着部位(固相抽出)と高感度分析機器(ICPMS)から成り立つ自動分析システムです。 分析ターゲット(金属イオン)を選択的かつ高精度に分析することができます。
しかしながら,実際の試料には,分析したいターゲットのほかにも様々な夾雑物が含まれています。そのため,実際の分析では,その成分の影響を受けて,分析ターゲットの回収率が変化している場合があります。これまでの方法では,回収率を直接求めることができなかったため,夾雑物が多く含まれているサンプルでは,正しい定量(分析)ができているかどうかわかりませんでした。
この問題解決のために、カラムをバイパスする分岐流路(スプリットライン)を新たに設ける手法を開発しました。これにより,たった1回の試料注入で,分析ターゲットの定量分析と回収率測定を同時に測定することができます。
この方法を使用すれば,たとえ試料中に定量を妨害する成分が含まれていたとしても,回収率から定量値を補正することができます。そのほかにも,本法は、様々な応用できたことを報告しております。