三本菅文さんの卒業研究の成果が、イギリス王立化学会の学術雑誌“Analytical Mehods”に掲載されました。
- Aya Sanbonsuge, Tsugiko Takase, Den-ichiro Shiho and Yoshitaka Takagai, Analytical Methods, 3, 2160-2164 (2011).
【概要】 キーワード:分析化学,医薬品分析,食品分析,生体分析など・・・。
人が生きていくうえで,「食の安全」をきちんと確保することはきわめて重要です。近年の「化学薬品による健康被害」などの残念なニュースは、マスメディアを通じて広く伝わるようになり,今では食の安全意識は昔よりも随分強くなっています。このような背景もあり,食品中に残留する微量な物質に対するモニタリングの重要性も大きくなっています。その中で、家畜の寄生虫駆逐薬として広く使用されている動物用医薬品の「イベルメクチン」は、世界保健機関(WHO)なども勧告を出しているように、食品残留モニタリング法の開発が世界的な急務となっています。この数年は、食品化学のみならず、代謝科学、農業化学、バイオケミストリー、分析化学、環境化学などの様々な分野で、イベルメクチンの生体内外での挙動を把握するための研究論文が数多く報告されています。 今回の研究で、トリメチルシリル(TMS)誘導体化試薬の一種であるBSTFAを使用することで、イベルメクチンのGC-MS分析を現実的な濃度レベルで分析できることを見出しました。そして、食肉(馬肉)への添加回収試験を行い良好な結果を得ることができ、実用分析手法として活用できることを証明できました。あとから分かったことですが,世界で初めて,GC-MS分析装置を用いてイベルメクチンなどのマクロライド系医薬品を分析した例となりました。
イベルメクチンの構造式と3Dモデル。[3D model was prepared by “sientelasalud”. ]